お酒に関わる仕事は、大きく分けて「提供する」「造る」「販売・広める」「極める・観光」の4つの系統があります。バーテンダーやソムリエのように接客でお酒を扱う仕事から、杜氏・蔵人のように現場で造る仕事、きき酒師やウイスキーコニサーのように専門知識を極める仕事まで幅広く、未経験から始められるものも少なくありません。
このページでは、お酒に関わる仕事を一覧で整理し、それぞれの仕事内容・向いている人・必要になりやすい資格をまとめました。「お酒が好き」を仕事にしたい人が、自分に合う職種を比較して選べる内容になっています。
お酒に関わる仕事 一覧(4系統で整理)

まずは全体像です。お酒に関わる仕事を4つの系統に分け、代表的な職種と特徴を一覧にしました。気になる系統は、このあとの章で詳しく解説しています。
| 系統 | 主な職種 | 仕事の特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| お酒を提供する仕事 | バーテンダー/ソムリエ/居酒屋・レストランスタッフ/レストラン給仕人 | お客様に直接お酒を提供する接客中心の仕事。未経験から始めやすい職種が多い | 人と接するのが好きな人 |
| お酒を造る仕事 | 杜氏/蔵人/ワイナリー・ビール醸造スタッフ/ブレンダー | 酒蔵・醸造所・蒸溜所などでお酒そのものを造る現場の仕事。技術を積み重ねる職人気質の世界 | モノづくりや手仕事が好きな人 |
| お酒を販売・広める仕事 | 酒販店・問屋スタッフ/メーカー営業・マーケティング/日本酒海外輸出担当 | お酒を仕入れて売る、広めることが中心。商品知識に加え営業・企画の力が活きる | 営業や企画、コミュニケーションが得意な人 |
| お酒を極める専門職・観光系 | きき酒師/ウイスキーコニサー/ビアテイスター/酒蔵・観光ツアーガイド | 鑑定・評価などの専門知識を活かす仕事や、観光と組み合わせてお酒の魅力を伝える仕事 | お酒を深く学び、知識を活かしたい人 |
ここからは、4つの系統ごとに職種をくわしく見ていきます。
1. お酒を提供する仕事

飲食店でお客様に直接お酒を提供する仕事です。お酒に関わる仕事の中でもっとも身近で、アルバイトや見習いから始められる職種が多いのが特徴です。
バーテンダー
バーやラウンジ、ホテルのバーでカクテルを作り、お客様に提供する仕事です。カクテルやお酒の知識に加えて、会話や所作を含めた接客スキルが重視されます。未経験から見習いとして入り、経験を積みながら技術を磨いていくのが一般的です。
ソムリエ
ワインの専門家として、料理やお客様の好みに合わせてワインを選び、提供する仕事です。レストランやホテルで活躍します。日本ソムリエ協会などが認定する民間資格があり、取得すると専門性を示しやすくなりますが、資格がなくても現場経験を積みながら目指せる職種です。
居酒屋・レストランスタッフ
日本酒・焼酎・ビール・ワインなど幅広いお酒を扱い、料理と一緒に提供する仕事です。お酒の種類やペアリングに詳しくなれるうえ、接客機会が多いため、人と関わるのが好きな人に向いています。未経験から始めやすい職種の代表格です。
レストラン給仕人
高級レストランやホテルで、料理とお酒のサービスを担当する仕事です。アルコールの知識が求められる場面が多く、ソムリエ資格を持ちながら給仕人として働く人もいます。所作や接遇のレベルが高く、専門性を高めやすい仕事です。
2. お酒を造る仕事

お酒そのものを造る現場の仕事です。日本酒の酒蔵、ワイナリー、ビールのブルワリー、ウイスキー蒸溜所など、扱うお酒によって職種が分かれます。技術を長く積み重ねる職人気質の世界です。
杜氏(とうじ)
酒蔵で酒造りの全体を取りまとめる責任者です。原料の管理から発酵の見極めまで、日本酒の品質を左右する重要な役割を担います。蔵人として経験を積み、技術を身につけたうえで杜氏を任されるのが一般的とされています。
蔵人(くらびと)
杜氏のもとで実際に酒造りに携わる人のことです。冬季のみ、または通年で日本酒を造ります。特別な資格がなくても始められますが、働きながら修行して技術を学ぶ必要があります。工程ごとに役割の呼び名があり、蒸米を担当する「釜屋」、麹造りを担う「代師(麹師)」、醪(もろみ)を管理する「酛師」などがあります。
ワイナリー・ビール醸造スタッフ
ワイナリーでのブドウの栽培・収穫・醸造や、クラフトビールのブルワリーでの仕込みを担当する仕事です。小規模な醸造所では栽培から醸造まで幅広く関わることもあり、大手メーカーの工場では大規模な設備でビールやワインを造る仕事もあります。
ブレンダー
主にウイスキーで、複数の原酒を組み合わせて味わいを整える役割です。1日に数百もの原酒サンプルをテイスティングすることもあり、味や香りを正確に判断する能力が求められます。長くウイスキーに携わって経験を積む必要がある、専門性の高い仕事です。
3. お酒を販売・広める仕事

造られたお酒を仕入れ、販売し、世の中に広めていく仕事です。商品知識に加えて、提案力や営業・企画の力が活きます。
酒販店・問屋スタッフ
酒屋や卸問屋で、お酒の仕入れ・陳列・販売・配送などを担当する仕事です。お酒の種類やペアリングの知識があると、お客様に合った一本を提案でき、接客が得意な人に向いています。なお、瓶や缶などでお酒を継続的に販売する事業には「酒類販売業免許」が必要とされています。
メーカー営業・マーケティング
酒造会社や飲料メーカーで、飲食店や小売店への営業、商品の企画・販促を担う仕事です。お酒の知識だけでなく、提案力やマーケティングの視点が求められます。お酒を「広める」立場として、業界全体を動かす実感を得やすい職種です。
日本酒海外輸出担当
酒造会社やメーカーで、海外取引先とやりとりしながら日本酒の輸出に携わる仕事です。海外への営業、現地での売り込み、展示会への参加など、グローバルに活躍できます。お酒の知識に加えて、営業スキルや語学力が求められる仕事です。
4. お酒を極める専門職・観光系の仕事

お酒の知識や鑑定能力を極める専門職と、観光と組み合わせてお酒の魅力を伝える仕事です。知識を活かして幅広い場面で活躍できます。
きき酒師
日本酒の「ソムリエ」とも呼ばれる専門職で、香りや味わいの違いを見分け、料理やお客様に合った日本酒を提案します。民間資格があり、取得すると飲食店・酒販店・メディアなど幅広い場で知識を活かしやすくなります。
ウイスキーコニサー
コニサーは「鑑定家」を意味し、ウイスキーコニサーはウイスキーの知識や鑑定能力を体系的に身につけた人を指します。日本酒のきき酒師、ワインのソムリエにあたる存在で、酒類販売やバー・レストランなど幅広い場面で活躍できます。関連する民間資格があります。
ビアテイスター
テイスティングによってビールの出来栄えを評価する専門職です。モルトやホップの香り、苦味、甘味、ボディなどを多角的に判断します。近年はクラフトビールや輸入ビールも増えており、その違いを正確に伝える役割が求められています。関連する民間資格があります。
酒蔵・観光ツアーガイド
酒蔵やワイナリーで、見学ツアーの案内や試飲販売のサポート、蔵元の歴史を伝える仕事です。観光業とお酒が組み合わさった職種で、お客様との交流を楽しみながら、日本酒やワインの知識を深められます。観光地での働き方ともつながりやすい仕事です。
自分に合うお酒の仕事の選び方
どの仕事が向いているか迷ったときは、「自分が何をするのが好きか」から考えると選びやすくなります。
- 人と接するのが好きな人 → バーテンダー・ソムリエ・居酒屋スタッフなど、お酒を提供する仕事
- モノづくりや手仕事が好きな人 → 杜氏・蔵人・醸造スタッフ・ブレンダーなど、お酒を造る仕事
- 営業・企画が得意な人 → 酒販店・メーカー営業・マーケティングなど、お酒を販売・広める仕事
- お酒を深く学びたい人 → きき酒師・ウイスキーコニサー・ビアテイスターなど、専門知識を極める仕事
まずは未経験から始めやすい提供・販売の仕事で経験を積み、そこから資格取得や専門職へステップアップしていく道もあります。
お酒の仕事に役立つ資格・必要な免許
お酒に関わる仕事には、必ずしも資格が必要ないものもありますが、専門性を示したり、事業として行ううえで必要になる資格・届出があります。代表的なものを整理しました。
専門性を高める民間資格
- ソムリエ:ワインの提供に関する民間資格。取得すると専門性を示しやすい
- きき酒師:日本酒の知識・テイスティング力を認定する民間資格
- ウイスキーコニサー:ウイスキーの知識・鑑定に関する民間資格
- ビアテイスター:ビールのテイスティング・評価に関する民間資格
これらはいずれも取得が必須ではありませんが、信頼性を高め、活躍の場を広げる助けになります。
事業として行う場合に必要な免許・届出
お酒を提供・販売する立場になると、業態によっては次のような免許・届出が必要とされています。
- 酒類販売業免許:瓶・缶などでお酒を継続的に販売する場合に必要とされる免許
- 深夜酒類提供飲食店営業の届出:深夜帯(一般に午前0時以降)に主としてお酒を提供する飲食店を営む場合に必要とされる届出
必要な免許・届出は店舗の形態や営業時間によって異なります。開業や運営を検討する場合は、最新の要件を管轄の税務署・警察署など公的機関に確認してください。
未経験からお酒の仕事を始めるには
お酒に関わる仕事の多くは、未経験から挑戦できます。
- バーテンダー・居酒屋・レストランスタッフは、アルバイトや見習いから始められる求人が多い
- 蔵人のように、資格がなくても働きながら技術を学んでいける仕事もある
- 提供・販売の仕事で経験を積み、ソムリエやきき酒師などの資格取得につなげる道もある
研修やサポートの有無、未経験可かどうかは求人や勤務先によって異なります。応募前に募集要項を確認しておくと安心です。
短期でお酒に関わる仕事を体験したいならリゾートバイトも選択肢
「まずは短期でお酒に関わる仕事を体験してみたい」「観光地で働いてみたい」という場合は、リゾートバイトも選択肢のひとつです。
ホテルのバー、旅館の食事処、観光地の居酒屋、地酒を扱う宿泊施設などでは、お酒を提供する仕事に短期間から携われることがあります。地域のお酒に触れながら接客経験を積めるため、将来お酒の仕事を目指す人の「お試し」としても向いています。
- ホテル・リゾート施設のバーで、カクテルやお酒の提供を経験できる
- 旅館の食事処で、日本酒・焼酎など地酒を扱う接客を経験できる
- 観光地の居酒屋や、地酒を扱う宿泊施設で働ける場合がある
寮費・食費・光熱費の無料条件や、未経験可かどうかは求人ごとに異なります。条件は募集元で確認してください。リゾートバイトそのものの仕組みや始め方は、リゾートバイトの始め方もあわせて参考にしてください。
リゾートバイトの始め方は、まずリゾバ専門の求人サービス(派遣会社)に登録するところからスタートします。登録のあとは「電話面接 → 仕事の紹介・契約 → 持ち物の準備 → 現地到着 → 初日」という流れで進むので、初めての人でも順番どおりに動けば迷いません。このページでは、申し込みから勤務開始...
お酒に関わる仕事に関するよくある質問
お酒が好きなだけで、お酒に関わる仕事はできますか?
未経験から始められる仕事は多くあります。バーテンダーや居酒屋スタッフ、酒販店の販売などは、見習いやアルバイトからスタートできる求人が一般的です。好きという気持ちは続けるうえで強みになりますが、接客や体力が必要な場面もあるため、仕事内容も合わせて確認しておくとよいでしょう。
お酒に関わる仕事に資格は必要ですか?
多くの職種は資格がなくても始められます。ソムリエ・きき酒師・ウイスキーコニサー・ビアテイスターなどは民間資格で、取得すると専門性を示しやすくなりますが必須ではありません。一方で、お酒を販売・提供する事業を行う場合は、酒類販売業免許や深夜酒類提供飲食店営業の届出など、業態に応じた手続きが必要になることがあります。
お酒を造る仕事に就くにはどうすればいいですか?
蔵人は特別な資格がなくても始められ、働きながら技術を学んでいくのが一般的です。酒蔵やワイナリー、ブルワリーの求人に応募し、現場で経験を積むのが基本的な道です。募集は季節限定の場合もあるため、勤務時期や勤務形態を確認しておくとよいでしょう。
未経験でもバーテンダーやソムリエになれますか?
どちらも未経験から目指せます。バーテンダーは見習いから始めて技術を磨くのが一般的です。ソムリエは現場で経験を積みながら資格取得を目指す人が多く、レストランやホテルでの接客経験が役立ちます。
お酒の知識を活かせる専門職にはどんなものがありますか?
きき酒師(日本酒)、ウイスキーコニサー(ウイスキー)、ビアテイスター(ビール)、ソムリエ(ワイン)など、お酒の種類ごとに知識や鑑定力を活かす専門職があります。製造側ではブレンダーや杜氏など、味づくりを担う専門性の高い仕事もあります。
短期だけお酒に関わる仕事を経験することはできますか?
短期のアルバイトや、観光地のホテル・旅館で働くリゾートバイトなどで、お酒に関わる接客を期間限定で経験できる場合があります。勤務期間や仕事内容、待遇は求人によって異なるため、募集元で確認してください。
まとめ
お酒に関わる仕事は、「提供する」「造る」「販売・広める」「極める・観光」の4系統に分けると全体像がつかみやすくなります。
- 人と接するのが好きなら、バーテンダー・ソムリエ・居酒屋スタッフなどの提供する仕事
- モノづくりが好きなら、杜氏・蔵人・醸造スタッフ・ブレンダーなどの造る仕事
- 営業や企画が得意なら、酒販店・メーカー営業・輸出担当などの広める仕事
- お酒を深く学びたいなら、きき酒師・ウイスキーコニサー・ビアテイスターなどの専門職
多くの仕事は未経験からでも挑戦でき、経験を積みながら資格取得や専門職へステップアップできます。自分が「何をするのが好きか」を起点に、合う職種を選んでみてください。


















