日本酒の生産量が日本一なのは兵庫県、2位は京都府、3位は新潟県です。この記事では、国税庁の都道府県別データ(最新の令和6酒造年度)をもとに、2026年最新版として日本酒生産量ランキングTOP10と各「酒どころ」の特徴・代表銘柄、そして合わせて訪れたい温泉地・観光スポットをまとめて紹介します。
同じ“日本酒”でも、土地の気候や水、歴史ある酒造りの技術によって味わいは大きく変わります。その土地ならではの“地酒”は、淡麗辛口から濃厚な旨口まで個性豊か。なかには流通量がごくわずかな“幻の銘柄”もあり、現地で味わう一杯は旅を特別なものにしてくれます。温泉旅館での湯上がりの一杯や、郷土料理とのペアリングを楽しみに、酒どころへの旅を計画してみましょう。
日本酒といえばどこ?“酒どころ”は旅や温泉旅行の目的地にも◎

日本酒は全国各地で造られていますが、土地によって味わいが大きく変わります。その地に根付いた製法、名産品、気候に合わせて、淡麗辛口から濃厚甘口までさまざまなタイプが生まれます。生産量が極めて少なく、限られた地域でしか流通しない“幻の銘柄”が、希少価値の高さから根強い人気を集めることもあります。
全国各地の日本酒の個性や有名な酒どころを知っておくと、旅や温泉旅行の楽しみがぐっと深まります。とくに温泉地では、地元の地酒が旅館の食事とともに提供されることも多く、湯上がりの一杯として味わう地酒は格別です。
日本酒生産量ランキングTOP10と特徴まとめ(都道府県別)

| ランキング | 都道府県 | 生産量(20度換算) | 特徴・備考 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 兵庫県 | 76,957kL | 「灘五郷」の酒が特に有名。生産量の多い大手メーカーが集まる。 |
| 2位 | 京都府 | 43,245kL | 「伏見」の酒が生産量の大半を占める。“女酒”と呼ばれる甘口が人気。 |
| 3位 | 新潟県 | 25,109kL | 米どころとして有名で、酒蔵数は国内トップクラス。 |
| 4位 | 埼玉県 | 17,286kL | 荒川・利根川など質の高い水を生かした酒造り。 |
| 5位 | 秋田県 | 10,736kL | 米のうまみを生かした芳醇な旨口酒が多い。 |
| 6位 | 愛知県 | 8,411kL | 濃厚な名古屋グルメに合うしっかりした味わいの酒。 |
| 7位 | 山梨県 | 7,441kL | 酒蔵数は多くないが、きれいな酒質の有名銘柄がそろう。 |
| 8位 | 山口県 | 6,971kL | 「獺祭」など世界的に有名なブランドの日本酒がある。 |
| 9位 | 福島県 | 6,365kL | 歴史の古い酒蔵が多く、エリアごとに味わいが変わる。 |
| 10位 | 栃木県 | 5,638kL | フルーティで個性あふれる人気銘柄が多い。 |
※出典:国税庁「清酒の製造状況等について(令和6酒造年度)」参考7・都道府県別清酒製造状況(製成数量/アルコール20度換算)。清酒の全国製成数量は285,636kLで、前年度に比べ減少傾向です(生産量は年度により増減します)。
それぞれの酒どころにどんな特徴があり、どんな銘柄が有名なのか、詳しく見ていきましょう。
1位:兵庫県|灘五郷と山田錦が支える日本一の酒どころ
酒どころとして名高い「灘五郷」を擁し、酒米の王者・山田錦や名泉・宮水を使った辛口淡麗の酒が特徴。大手・老舗の蔵元が拠点を構え、生産量は断トツの1位です。有馬温泉や城崎温泉では「湯上がりの一杯」として地酒を楽しめます。
2位:京都府|伏見の水が生むやわらかな“女酒”の名産地
- 代表銘柄:月桂冠・黄桜など
- 合わせて訪れたい観光地:伏見(酒蔵群)、嵐山・鞍馬温泉
歴史深い伏見エリアを中心に、月桂冠・黄桜などの大手蔵が軒を連ねる京都。灘が辛口なのに対し、伏見は甘口の酒が多く、その酒質は“女酒”とも呼ばれます。酒蔵見学や試飲体験が豊富で、嵐山観光や鞍馬温泉と組み合わせた旅が人気。季節ごとの酒イベントも多彩です。
3位:新潟県|米どころが生んだ淡麗辛口の王道エリア
- 代表銘柄:八海山・久保田など
- 合わせて訪れたい温泉地:越後湯沢温泉(ぽんしゅ館など)
日本有数の米どころ・新潟は、“淡麗辛口”の代表格。寒仕込みに適した気候と豊かな水が魅力です。冬はスキー、通年で新鮮な海鮮も楽しめるため、レジャーや食事とセットで地酒を味わう旅もおすすめ。越後湯沢の「ぽんしゅ館」では100種類以上の地酒の利き酒も楽しめます。
4位:埼玉県|関東屈指の生産量を誇る隠れた酒どころ
- 代表銘柄:鏡山・神亀など
- 合わせて訪れたい観光地:秩父、長瀞温泉、名栗温泉など
関東でも有数の清酒生産量を誇る埼玉は、川越などの城下町エリアに酒蔵が点在。地元ブランド・鏡山をはじめ、蔵元見学が可能な蔵もあります。長瀞温泉エリアの旅館では地酒が提供されることも。日本酒だけでなくウイスキーの人気蒸溜所もあり、お酒のイベントも豊富です。
5位:秋田県|米の旨みを生かした芳醇な酒が魅力
- 代表銘柄:新政・雪の茅舎など
- 合わせて訪れたい観光地:田沢湖・乳頭温泉郷など
米どころならではの芳醇な旨口酒が特徴で、伝統的な酒造りを今に伝えるエリア。「新政」などのレア銘柄もあり、お酒好きにはたまらない地域です。田沢湖や乳頭温泉郷など観光地にも恵まれ、秋冬には蔵祭りや酒イベントが多数開催。冬はスキーも楽しめます。
6位:愛知県|濃い味の郷土料理に合う力強い日本酒文化
- 代表銘柄:國盛・蓬莱泉など
- 合わせて訪れたい観光地:名古屋城周辺、蒲郡温泉、知多半島
名古屋を中心に日本酒文化が根付く愛知。味噌を使った濃いめの名古屋グルメに負けない、しっかりした味わいの日本酒が多くあります。古くから宮廷や将軍に酒が献上された土地柄で、名古屋市内や蒲郡など観光地周辺の酒蔵では見学が可能な箇所も多く、温泉や歴史スポットと併せて“味わう旅”が楽しめます。
7位:山梨県|名水とワイン文化が共存する個性派の酒どころ
- 代表銘柄:七賢・谷桜など
- 合わせて訪れたい温泉地:甲府温泉・河口湖・山中湖など(山梨の温泉)
日本酒だけでなくワイン文化も盛んな山梨。七賢や谷桜など、質の良い水を生かしたきれいな酒質の銘柄が多い印象です。甲府温泉や八ヶ岳南麓といった観光地も多く、美食・景観・温泉を融合させた宿が豊富です。
8位:山口県|獺祭を生んだ世界に知られる酒どころ
- 代表銘柄:獺祭・雁木など
- 合わせて訪れたい観光地:萩温泉、下関など
高品質な純米大吟醸で知られる「獺祭」は、言わずと知れた全国区のブランド。現地で飲むのもよし、お土産にもよしの銘柄です。萩や岩国の温泉地でも地酒が提供されることが多く、旅館と酒の融合を楽しめます。下関などグルメで人気のエリアも多く、食と酒を目当てにした旅にぴったりです。
9位:福島県|会津・中通り・浜通りで味わいが変わる実力派
- 代表銘柄:飛露喜・写楽など
- 合わせて訪れたい観光地:会津温泉郷、猪苗代、磐梯山
福島は会津地方を中心に、飛露喜・写楽など高評価な地酒を輩出。県内でも浜通り・中通り・会津とエリアで異なるニュアンスの酒が楽しめます。そのため長めに滞在して酒蔵巡りや飲み比べを楽しむのもおすすめ。会津若松の温泉や、猪苗代・磐梯山のスキーエリアもあり、季節限定酒を狙って旅程を組むのも一興です。
10位:栃木県|フルーティで個性派の銘柄がそろう北関東の酒どころ
- 代表銘柄:鳳凰美田・仙禽など
- 合わせて訪れたい温泉地:那須温泉・日光など(栃木の温泉まとめ)
栃木の鳳凰美田はフルーティでキレがあり全国的に人気。ほかにも旨味と酸味のバランスに優れた人気銘柄が多いエリアです。都心からのアクセスがよく、それでいて観光地が豊富なのも魅力。那須温泉や奥日光の湯元温泉では、高級旅館やリゾートホテルでゆったり過ごせます。
温泉地・旅館と一緒に楽しむ“地酒旅”の魅力とは
なぜ地元で飲む日本酒(地酒)は美味しいのか

旅先で味わう地酒には、ボトルでは伝わりきらない“現地ならでは”の美味しさがあります。まず魅力なのが、酒蔵直送の鮮度抜群なお酒や、しぼりたての香り、現地でしか出会えない希少銘柄をそのまま堪能できること。
日本酒は水や気候の影響を大きく受けるため、地域ごとの個性が色濃く出ます。雪深い地域の酒はキリッとした淡麗な味わいに、温暖な土地ではコクのある甘口タイプが多い傾向です。さらに地元の郷土料理との相性も抜群で、味噌や発酵食品を使う地域ではしっかりめの日本酒がぴったり。温泉地や旅館では料理に合わせた地酒を味わえることも多く、非日常感あるひとときを演出してくれます。
酒蔵巡り・地域文化と日本酒をともに楽しむ

地酒旅の楽しみは、味わいだけにとどまりません。地元の居酒屋や立ち飲み処では、ガイドブックに載っていない“隠れた銘酒”に出会えることも。地元の人との会話を通じて、日本酒の魅力がぐっと身近になります。
肌にやさしいとされる「酒風呂」など、その土地特有の日本酒文化に触れられる温泉宿もあります。さらに旅程に酒蔵巡りを組み込めば、仕込みの様子や蔵人のこだわりを間近で感じられます。たとえば古い町並みが残る飛騨高山では、酒蔵が点在し、日本酒の飲み歩きができる町歩きが人気。見て・知って・味わう体験型の旅として、満足度の高い“地酒旅”が楽しめます。
温泉旅行でお酒を楽しむ方法は、大きく分けて「①宿が用意している“露天風呂やお部屋で飲めるサービス”を使う」「②自分でお酒を持ち込む」の2つです。ただし持ち込みを禁止している旅館も多いため、必ず事前に宿へ確認しましょう。この記事では、まずお酒の持ち込みルールと入浴中の注意点を整理し、そのうえで露天風呂...
日本酒の酒どころ旅でよくある質問(FAQ)
Q. 日本酒の生産量が一番多い都道府県はどこ?
国税庁の都道府県別データでは兵庫県が日本一で、2位が京都府、3位が新潟県です。兵庫は「灘五郷」、京都は「伏見」と、いずれも大手蔵が集まる名高い酒どころです。
Q. 「淡麗辛口」と「甘口」はどの地域に多い?
寒冷で雪深い新潟などは淡麗辛口がキリッと際立つ傾向、京都・伏見は甘口(女酒)が多い傾向があります。地域や蔵によって幅があるので、現地で飲み比べてみるのがおすすめです。
Q. 「獺祭」はどこの日本酒?
獺祭は山口県の純米大吟醸で、世界的にも知られるブランドです。萩や岩国などの観光・温泉エリアと合わせて巡ると、より旅の満足度が高まります。
Q. 酒蔵見学や試飲はできる?
京都・伏見や飛騨高山など、酒蔵見学や試飲・飲み歩きができるエリアがあります。蔵によって見学の可否・予約要否・実施時期が異なるため、訪問前に各酒蔵の公式情報を確認すると安心です。
Q. 地酒を旅行で楽しむのにおすすめの時期は?
しぼりたての新酒が出回る冬から春は、地酒旅にとくに向く季節とされます。蔵開きや酒祭りが開催されることもあるため、狙いの銘柄やイベント時期に合わせて旅程を組むのも楽しみ方のひとつです。
Q. 「地酒」と普通の日本酒の違いは?
明確な定義があるわけではありませんが、一般にその土地の水・米・気候・製法を生かして造られた地域色の強い日本酒を地酒と呼びます。流通が限られる銘柄も多く、現地で味わえることが旅の醍醐味です。
まとめ:旅、酒、温泉は文化体験
その土地の水・米・気候が育んだ日本酒は、まさに“地域を味わう文化体験”。生産量1位の兵庫、2位の京都、3位の新潟をはじめ、酒を通してその地を知り、温泉に浸かり、地元の人と触れ合う旅は、記憶に深く残るものになるはずです。
とくに地酒旅は、グルメ・温泉・観光すべてを網羅しながら、心もお腹も満たしてくれる贅沢な時間。次の旅先に迷ったら、ぜひ「日本酒×温泉」をキーワードに、酒どころをめぐる旅を計画してみてはいかがでしょうか。お気に入りの一杯と、心に残る出会いがきっと待っています。






















